Δ長編

Something wrong with you 6

 枝から一枚の葉が舞い落ちる。くるくると螺旋を描いて地面に吸い寄せられた葉は水溜りの表面に吸い寄せられたかと思うと、暗く澱んだ水に捕らえられ奥底へと引きずり込まれて行った。 ——あの子と同じだ。 我らが悲願を達成させるため其処彼処にばら撒い…

Something wrong with you 5.5

 あともうひと押しといったところか。 昼下がりの市場で果物を手に取りながら、キーフリーはぼんやりと考え事をしていた。視線は果物に向いているものの、意識は隣の露店で店主と話しているココに向いていた。 彼女の楽しそうな声は、逆にキーフリーの精神…

Something wrong with you 5

 カルンから帰った次の日、キーフリーは一日中寝込んでいた。慣れない肉弾戦をしたことに加え、酷い眼痛と頭痛で目を開けるのさえ苦痛だった。 数ヶ月ぶりに再発した左目の痛みは、ココと出会ってからキーフリーが忘れていた“タイムリミット”を、残酷なほ…

Something wrong with you 4

 「あなたは誰?」 ココがそう問いかけると、もう一人のココは穏やかに微笑んだ。よく見るともう一人のココの姿はうっすらと透けて見えている。魔法で映し出された幻影なのだろうか。その幻影は、どこからともなく魔法陣が描かれた紙を一枚、ココに差し出し…

Something wrong with you 3

 これは夢だ。何度も見ていた光景だったので、キーフリーはすぐにわかった。そして不快になった。自分はまだあの時の恐怖に縛られているのか、と。 当時の感情に引きずられるかのように、キーフリーの心拍数が上がった。呼吸が浅く、速くなる。 耳元でもう…

Something wrong with you 2

 何か恐ろしいものに駆り立てられているような気がして、ココはパッと目を覚ました。目に映ったのは自室とは違う知らない小屋の天井で、さらに混乱が加速する。早まる息を抑え、ココは状況の整理をした。 そうだ、私……とんでもないことをしてしまったんだ…

Something wrong with you 1

 賽は振るたびに目が変わる。    ココは平凡な少女だった。山と草原以外には何もないこの小さな村で生まれ育ち、母親の営む仕立て屋を手伝って過ごす、ごく普通の少女だった。ただ、魔法に対する憧れだけは人並みはずれて強かった。 大空を翔ける羽根馬…